超昂天使エスカレイヤー-Beat Angel Escalayer-
(製作:アリスソフト)
序論
もはやエロゲーを評価する上で欠かせないポイントとなった感のある“萌え”であるが、ゲーム本来の魅力と萌えの融合が図られているゲームは非常に少ない。萌え部分を強調する余りに、本来の存在意義であるはずのHな部分を疎かにしている作品の何と多い事か。(体力のないメーカーがスマッシュヒット→コンシューマへ移植を念頭に入れて製作しているという事情もあるのだろうが)そんな中“ランス”、“大悪司”など『純愛でないと売れない』という雰囲気すら漂う昨今には珍しく“エロ”を前面に押し出してヒットさせているアリスソフトの姿勢は多いに評価すべきであろう。しかしながら決してアリスソフトが“萌え”を軽視しているわけではない。それは本作をほんの少しでもプレイすればすぐに分かるだろう。
シナリオ・・・・・・12点/15点
本作の基本的なストーリー構成はかって一世を風靡した『魔法少女』モノ(現在も根強いが)である。一般的に通常時はオドオドしていて控えめな主人公が魔法(バリエーションは多々有り)で変身すると途端に大胆になる(衣装の露出度も)という場合が多く、本作もそれを踏襲している。特筆すべきはその萌えの一代牙城とHな要素が完全に融合しているという点だろう。魔法少女モノのエロゲーは他にもたくさんあるけれどもどれも本作ほどHな要素が自然では無く、どうしても“萌え”と“エロ”の要素が乖離してしまっている。もうひとつ優れた点を挙げるとすれば、敵組織のキャラの立ち具合だろう。成人指定が入っていると言う事で、野蛮という性格付けがなされている幹部がより際立っている。ゲーム部分がかなりのランダム性を持っているので、モチベーションの持続が難しいと思われるが少なくともこの魅力的なシナリオのお蔭で、1周目でプレイヤーが飽きると言う事はまずないと言って良いだろう。
CG・・・・・・・14点/15点
本作の魅力を挙げる中で何度も強調している“萌え”と“エロ”の両立あるいは融合であるが、それを可能にしている最大の功労者はこのCGであろう。キャラ本来の魅力を損なうことなく、H部分のCGの濃密さも確保している。アリスソフトと言う事でサディスティック的なシチュエーションの数が多いのだが、不思議と痛々しさは無く淫蕩だけが強調されている。これは原画家の圧倒的な力によるものであろうか?それでいて敵や主人公であるエスカレイヤー、それに戦闘時のCGなどはしっかりと魔法少女モノや戦隊モノのテイストをしっかりと出すことに成功しており、そちらに期待して買ったというユーザーからも不満の声は余り聞かれない。余り抵抗はないと思われるが、純愛ゲームオンリーと言う方には少しサディスティックな面が鼻につくかもしれないが、それだけで回避するには余りにも惜しいCGのクオリティ、そしてゲームである。
システム・・・・・6点/10点
本作のCG閲覧条件は大きく分けて『エスカレイヤーのパワーを補充する』時(通常時)と『戦闘敗北』時の二つである。その内、通常時のCGを見る際にはサイコロを振って基準値を越える事が要求される。(失敗すると難易度が下がる)この判定、失敗した時にロードしても変わる事がないので非常にストレスが溜まる。(ロードによるやり直しが利くと今度はゲーム性が失われてしまうのだが)なので、この点においてはもう少し基準値の全体平均を下げても良かったのではないだろうか。戦闘敗北時に見られるCGは当然凌辱系なのであるが、エスカレイヤーのパワーの源が興奮・羞恥などである事から戦闘に負けるとエスカレイヤーは成長するのである。この救済措置によってワザと負けなければならないというストレスが大分軽減されると思われる。システム全体を完全に理解するのには少し時間がかかると思われるが、直感的にプレイしても何とか上手く行くというバランス取りは評価すべきだろう。
その他・・・・・9点/10点
OPに入るTV番組顔負けのムービー、戦闘時に入るアイキャッチ、かなりTVを意識した作りとなっていてユーザーの目を楽しませてくれる事は必定だ。しかしながら通り一辺倒なエフェクトの為に最後の方は飽きてくるかもしれない。(ちなみに筆者は変身シーンに終盤飽きてしまった)ランダムイベント時は音声が入らないという点はもう少しメーカーに努力して欲しかったと思う。
総評・・・・・41点/50点
本作の完成度は同時期に発売された作品の中でも群を抜いている。さすがはアリスソフトと言うべきだろう。最近の萌えを強調しているゲーム(萌えが浮いてしまっている)に食傷気味の人には特にオススメだろう。きっと“萌え”がエロゲーにおいて単なる一要素に過ぎない事を再確認させてくれる事だろう。あえて難点を挙げるとするならば、2周目、3周目へのモチベーションの持続が難しいと言う事だ。本ブランドの代表作のひとつである『大悪司』にあったあの圧倒的な勢いが本作には無いのだ。完成されすぎた故の弊害であろうか?しかしながら安定した名作を求めるのであるならば、本作を手にとって損はないと断言する。