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黒と黒と黒の祭壇〜蟲毒〜

(製作C's ware

 

序論

タイトルにある蟲毒とは陰陽術の一種で、様々な虫をひとつの壷の中に密閉し、それらを最後の一匹になるまで相食ませて、それを呪殺に使用するというものであるが、本作の主人公が置かれた状況はまさにその様な感じの作品である。
自身の復讐の為に、そして見えない所で絡む様々な思惑と相俟って聖女を堕落させる儀式が続く・・・。本作は謎解きの要素もあり、最後までユーザーを飽きさせない。
デモ版ではメインのヒロインであるユーディットの持つロリ属性と明るさを前面に押し出していたが、本編では打って変わった様に陰鬱な展開が続き、彼女の明るさは清涼剤になるどころか痛々しさすら感じさせる。
開発者はそこまで読んで、デモから本編での重要な要素である暗い雰囲気を排除したのであろうか?

 

シナリオ・・・19点/20点

シナリオこそが本作の最大のセールスポイントであることは一目瞭然と見て良いだろう。不可思議な力で空に浮かぶ空中庭園『エレメン・アンキ』を舞台に、背教者となった主人公、彼に手を貸す謎の少女、そして聖女を守る天使達の暗闘が繰り広げ荒れるわけだが、様々に張り巡らされた伏線がほとんど余すところ無く効果を発揮しているのは高く評価できるだろう。
例えば物語の舞台となっている勢力が拮抗している二つの国家、そしてちょうど勢力圏の衝突地域に位置している聖地、そして聖地の上に浮かぶ空中庭園。これらが一つの線になって結ぶ後半の展開は、ユーザーを引き付けるに充分だ。そして最後まで残される『聖女』という存在の謎、繰り返し語られる『創世の詩』への疑問など、物語の底辺に位置している設定の数々が単なる舞台設定に終わっていないところが本作の真骨頂であり、最も評価すべきところであろう。
主人公像がエロゲーには珍しく、硬骨漢として描かれているのも好印象だ。本作は純愛系と呼ばれるジャンルではないので、女性へ媚を売るフラグを立てる必要が無い、というのが主な理由であると思われるが、自分で謎を解いていく姿勢は見ていて嫌気が差さない。主人公への悪印象でプレイする意欲を著しく減退させているゲームも確かに存在している中、本作はこちらの面でも及第点を突破していると言う事が出来るだろう。

 

CG・・・18点/20点

老舗C's wareの面目躍如と言った所か、相変わらずCGの質は高い物を維持していると言って良いだろう。全般的にSM系、いわゆる鬼畜系のCGが多いのが特徴であるが、回想シーンに挿入される過去のCGのほのぼのとした雰囲気や立ち絵CGの時に見せる微妙な微笑みなど、ただの鬼畜系に終始していない所は評価すべきだろう。
キャラの属性的にロリが二人と比重が大きくなっているが、その内の一人は『ギルティギア』で一躍、脚光を浴びたショタの属性も兼ね備えている。最も少年の意識のみが存在している、という形であるけれども。
ファンタジーな世界を舞台にしていると言う事だけあって、本作は亜人間が絡むCGも豊富である。代表的なものに天使が挙げられるが、これは物語の性質上から攻め・受けの両方のパターンを見る事ができる。天使好きのユーザー以外にも評価が高いのでは無いだろうか?
ただ惜しいのはCGの数があまり多くないと言う事であろうか?キャラごとに言えばユーディットにどうしても偏りがちであると言う点が否めないのもまた事実であると言わざるを得ない。

 

音楽、その他・・・9点/10点

音楽はC's wareの作品全般に言えることであるが、特筆する点は見当たらない物の、ゲームの雰囲気を構築する上で無くてはならない役割を果たしている。音楽も立派なセールスポイントとして通用するようになってきた最近のエロゲー業界であるが、本作のように音楽だけで売らないけれども、一級品のレベルを維持しているというのは貴重であると言える。
本作の基本設定にはセフィロトや魔方陣など数秘学の要素を使用している。勿論、形だけに過ぎないこれらの設定だけれども、本作のもつ神秘的な雰囲気を膨らませる大きな助けになったと思われる。

 

総合・・・46点/50点

非常に高得点となった本作であるが、この得点に似合う価値はあると断言して良いだろう。むしろ過小評価なのではないか?という気さえする。
まずファンタジー好きなユーザーには垂涎のシナリオであるし、CGも極めて高いレベルを維持している。ボリュームが少し足りないのではないかという疑問もあるけれども、ゲームそのものの完成度の高さを考えれば納得と言えよう。
しかし、敢えて難点を挙げるとすればユーディットのEDが少し無理矢理な感じがしてならない。中盤改心する主人公はともかくとして、それからの展開が少々こじつけのように見える。これはCGを鬼畜ルートと併用せざるを得なかったという点も理由の一つに数えられると思うが、それにしても、このエンドが一応のハッピーエンドとなるわけであるから、もう少し完成度を高めて欲しかったと思う。
しかしながら本編の価値が低まる事はないと言えよう。もしも購入を考えた事のあるユーザーは、ぜひともプレイする事を勧めたいと思う。

 

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